2009年10月14日水曜日

銀閣寺 Ginkaku-Ji



銀閣寺は
空間を創り出すさいに
明確な構想とコンセプトが存在し
それが見事に実現されたものであることを
強く豊かに感じさせる
世界で最も優れた建築の一つだ。
水草が漂い、おそらくは
さかなや蛙なども棲んでいる池の水と
触れ合うかのように設けられた縁に座れば
豊かな生命感が自ずと満ちる。
そこから建築の内部に入り
折れ曲がった階段を上って二階に昇れば
そこはすでに
天空かと想うような浮遊感。
開け放たれた窓から見えるのは
適度な距離感をもって
建築を取り巻いてそびえる山々の緑。
まるで緑の雲の中にまで
一気に昇ってきてしまったかのような
爽やかな上昇感と浮遊感
あるいは解放感。
そして人という存在の
哀しみにも通じるある種の孤立感。

たった二層の建築の中に天と地を
そして夢とうつつとを
創り出せる建築と人の不思議。