2011年3月29日火曜日

二つの災害

とうとう
決して起きて欲しくないことと
決して起きてはならないことが同時に起きてしまった。
東北沖の1000年に一度あるかないかと言われる大地震による災害と
福島原発による災害だ。
しかし、この二つは全く次元の異なる災害であり
決して混同して語られるべきではない。
言うまでもなく、前者は自然災害であり
後者は、何をどう言いつくろおうとも人災だ。
そして、この未曾有の自然災害に対する
東北の市民たちの
まことに敬服するしかないありようと
それとは対照的な
政府と電力会社の幹部の後手後手つづきの
確かな優先順位の設定が感じられない
戦略も即断力も見識も欠いた混乱ぶりは目に余る。
緊急非常事態に際しては
今やるべきことと、これからやらなければならないことを
明確に区別しつつ
両方を的確にリンクさせながら
何よりもスピーディに実行することが必要だ。
今やるべきことに関しては
何よりも被災者の命と健康、すなわち安全と安心を最優先において
あらゆることを、できる限り迅速に
即効性のあることを
あらゆる手段をこうじて実行すべきであり
これからやるべきことに関しては
人々の安全と安心を前提にしつつも
それに加えて、暮らしや喜びや希望のありようを
つまりは未来を見据えながら
的確なヴィジョンと強靭なコンセプトと緻密な戦略
そしてそれに基づいた具体的な未来設計と
それに向けた一歩が必要である。
今やるべきことと、これからやらなければならないこと
この二つは、現在きわめて重要な仕事として
何としても同時に進められなければならない。
この点に関しては
哀しみを抱えた東北市民の奇跡的な頑張りや
動員されて現地で働く人々の使命感にあふれた尽力
さらにはボランティアの方々を含む内外の人々の
真摯な眼差しや支援の速さに比して
政府、国会、中央官庁と電力会社の幹部は
これまでのところ、混乱と迷走を続けているように見える。
しかし、目の前の現実は厳しく
しかも先は長い。
遅きに失した状態とはいえ
刻々と悪化する事態に対して
とにかく、今の今から
あらゆる縄張り意識をとりはらい
知恵と力と気力を総結集して取り組むしかない。
これまでの対応を見る中で感じた
さまざまな憤りに関しては
ここでは具体的にはあえて言うまい。
しかし事態はもはや
一刻の猶予もならないところまで来てしまっている。
現実のあまりの過酷さを前に
自分ができることはあまりにも小さいけれども
少なくとも、このことに関して、自分なりに
継続的に考え続けていこうと思う。