photo by Elia Taniguchi
私たち人間は
もともとは特に関係のない言葉や数字やことがらに
特別の意味や関連を感じ取ってしまう癖のようなものを持っている。
ニュートンが万有引力を発見したのは
リンゴが樹から地面に落ちるという日常的でありふれた事象と
地球という星の存在とのつながりを考えたからだろう。
何かと何かをつなげて考えるという、人間の癖は
それがプラスに働いたとき
クリエイティヴな力になりうるが
マイナスに働けば、悲観や絶望などにもつながる。
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2001年の9.11と、2011年の3.11。
1000年に一度の千年紀と世紀の始まりを迎えた2001という年に
21世紀こそは
人類史で最大の戦死者を出した20世紀の愚かさを超えて
せめて戦争のない世界をと思った人も少なくはなかったはずだが
しかし現実には
マネーゲームの象徴ともいうべきビルとペンタゴンに
カミカゼ自爆ハイジャック機が突入するという悲惨な事件が起き
そして軍事産業を国の基幹産業とするアメリカが
その利権の代弁者ともいうべきブッシュ大統領の
「これは戦争だ」というあまりにも愚かな宣言によって戦争に盲進し
軍事的不良在庫を戦争によって一気に一掃するという
傲慢な暴挙を正義の名のもとに実行し
平和な世紀をという人々の願いをいとも簡単に打ち砕いた。
あの時私たちが考えなければならなかったのは
私たちの地球が抱えた矛盾の直視とその打開だった。
つまり、私たちの世界は
東西の冷戦という不毛な武力抗争の終焉が象徴するように
基本的には19世紀的に形を整え始めた
国民国家と、産業化社会というコンセプトに支えられた
近代という時代とそのシステムが
とっくに限界に達してしまった状況にあり
その結果ひき起こされた、巨大な富の格差や温暖化や
多様な文化や価値観の破壊というような
さまざまな矛盾によってほとんど機能不全に陥っており
それを乗り越えるための
近代の枠を超えたヴィジョンやコンセプトや技術やシステムや言葉を
新たに構築する必要に迫られていたのだが
にもかかわらず、その本題と直面することから
テロとの戦争という目くらましを受けて遠ざかってしまった。
それどころか世界は逆に
新資本主義やグローバリズムという
近代的方法が包括しうるスケールを
はるかに越えたパワーゲームを加速させ
構造的矛盾を度外視して暴走するなかで
リーマンショックに象徴されるような
システムクラッシュを引き起こしてしまった。
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そして2011年の3.11。
この複合的大災害は、それを前に右往左往する
巨大な独占企業と官僚管理システムの構造的欺瞞や怠慢
そしてそれらを全く統御することのできない政府や国会の
状況把握力や現状打開力や組織力やディレクション力の欠如を
無残なまでにさらけだした。
その具体的な混乱や過ちや不始末に関して
細かなことをあげつらうつもりはここではない。
世界で唯一原爆を浴びた国にあるまじき原発を
利権や思惑絡みで推進してきた人々や
政権交代したにもかかわらず
いまさら核の抑止力などという時代遅れの危険な妄言を弄する
不見識極まりのない首相たちのことは
いずれ厳しく問われなければならないとしても
大切なのは、この1000年に一度といわれる自然災害と
原発の集団暴走という人災がもたらした被害のダメージを
なんとか最小限に食い止めることであり
そして一刻も早く、近代を超え得る
よりリーズナブルでより人間的でより美しい
つまりはより安全で安心で
そしてより人間的な喜びの多い社会を創るための
ヴィジョンやコンセプトやそれに基づいた仕組みの創造に
既存の権威や権力や既得権益に惑わされることなく
私たちの総智と総力をあげて着手することだ。
さらには、私たちの社会が現在抱えている仕組みの問題点を
ひとつひとつ検証し
それらをよりシンプルで現実的で有効なものへと変化させる
具体的な方法や手立てを模索し
それを阻害するものを無力化していくことだ。
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私たちが奇妙な符合に意味を感じるのは
目の前の一つの事件や事故や出来事に対して私たちが
目の前の一つの事件や事故や出来事に対して私たちが
それを自分のことのようにそれを悲しみ、一喜一憂するのは
私たちが、一つの時代の中の、それぞれの今を生きるなかで
なんとか過去の失敗よる不幸や悲しみから何かを学び
いまと、これから先の未来に、できることなら
より多くの安心や喜びをもたらしたいという願いを
心のどこかに、密かに抱いているからにほかならない。
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いま私たちが直面してしまった現実を
私たちの今と未来のための哀しくも決定的な警告だと受け取る必要が
私たちにはあると思う。