photo by Roberto Otero
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ラファエル・アルベルティは
20世紀のスペインを代表する偉大な詩人だ。
ガルシア・ロルカに感化されて詩を書き始め
アントニオ・マチャードに認められて
詩人としての道を歩き始めたラファエルは
1902年にアンダルシアの
プエルト・デ・サンタマリアで生れた。
1999年に亡くなったので
20世紀のほぼ全てを生きたことになる。
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独裁者フランコとの戦いとして有名な
1936〜1939年の
いわゆるスペイン市民戦争では
友人のロルカとともに
人民戦線のシンボル的存在であり
市民政府側のオピニオンリーダーとして活躍した。
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ピカソの有名な大作『ゲルニカ』は
この戦争でフランコを支持したナチス軍による
バスクの街ゲルニカへの
無差別爆撃という暴挙に対する抗議として描かれ
1937年のパリ万博で
スペイン共和国政府館(市民政府館)に
ミロの大作『刈り入れ』とともに展示された絵だが
市民政府はフランコの反撃によって政権を奪取され
スペインは長い強権政治の時代に入る。
そして
アルベルティも、ピカソも、ミロも、カザルスも
みんな母国を離れて亡命することになる。
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これは一般には全く知られていない話だが
亡くなった友人のロベルト・オテロによれば
市民軍の思想と美意識の象徴でもあったアルベルティは
市民政府の文化庁長官的な立場にあった時
ピカソをプラド美術館の館長に任命し
その後政権が崩壊したために
その話は霧散してしまったわけだが
ピカソは晩年によく
「自分は今でもプラド美術館の館長だ。
だってラファエルに任命されてから
一度も解任されていないから。」
と言っていたらしい。
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私が親しくしていたロベルトとエステバンが
共にラファエル・アルベルティの親友であったため
幸いにも、晩年の彼と知己を得たが
家の中では実にリラックスしていたが
外に出る時にはいつも
鮮やかなほどにダンディでかっこよかった。
海辺の町で生れ海を愛した詩人らしく
いつも晴れた日の海のような青の
長いスカーフを肩からかけて
真っすぐ前を見て歩くラファエルの姿には
実に凛とした、そして自由なオーラがあった。
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ラファエルは結局
フランコが死ぬまで国外亡命生活を余儀なくされた。
生涯の親友であった
映画『イル・ポスティーノ』の主人公の詩人
パブロ・ネルーダにも共通することだが
愛する故郷を、全く理不尽な理由によって
故郷を誰よりも愛する者のひとりであり
その素晴らしさを言葉よって讃え
それを行動によって強く護ろうとする者であったが故に
去らなければならなかったことには
想像を絶するほどの
怒りと哀しみと無念が伴っていたに違いない。
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ヨーロッパでは
とりわけラテン系の国々では
詩人は
時代という不可思議であやふやな
しかし常に変化し続ける現実を生きる人々が
どこに向かって歩けばよいかを
どこにどのような光を見いだしうるかを
一本の輝く旗を掲げるように
あるいは松明を掲げるかのように
指し示してくれる存在だ。
ラファエル・アルベルティは
まさにそんな詩人だった。
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言葉が世界を語りうるという不思議
人がそれを編み
人がそのむこうに確かな意志を
自らのものとして感じ取れる不思議。
そこに自分に似た
多くの想いの存在を感じることが出来る不思議。
もし詩がなければ
世界はもっと不確かだろう。
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